プラセンタの注射とサプリメントの効果や副作用の違い

監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック
理事長・統括院長

野田 のだ 知路 とものり - Noda Tomonori -

監修医師 トイトイトイクリニック理事長・統括院長 野田 知路

福岡大学医学部形成外科、大手美容皮膚科院長を経て、医療脱毛をメインとする美容皮膚科クリニックを都内(渋谷原宿、池袋)で展開中。
常に自分の家族ならこうしたいと考えるよう心掛け、「家族にも勧められる美容医療」を信条としています。

プラセンタの注射とサプリメントの効果や副作用の違い

美肌効果や疲労回復のために、プラセンタ療法を受けてみたいと考えている方もおられるでしょう。しかし、注射とサプリメントのどちらを受けた方が良いのか、悩むことはないでしょうか?
今回は、プラセンタ療法で用いられる注射液とサプリメントの違いについてご説明いたします。

プラセンタ療法で使用する注射液について

日本で行われるプラセンタ療法では、メルスモンとラエンネックという2種類の注射液が用いられています。

プラセンタ注射液は何でできているか?

共に健康で感染症のない日本人の胎盤から成分が抽出されています。
ただしメルスモンは胎盤のみですが、ラエンネックには胎盤に加え臍帯(さいたい)や羊膜(ようまく)の成分も抽出されています。
いずれも、製造過程では厳密な品質管理が行われています。

プラセンタ注射液の効果

共に保険適応ができる病気が決められています。
メルスモンは、45〜59歳の更年期障害、また産後の乳汁分泌不全、ラエンネックは慢性肝疾患に対し、保険診療の範囲内で使用が可能です。
これ以外にも、疲労回復、美肌効果、傷の治癒、アレルギー対策などにも効果が認められており、自費診療として使用されています。

プラセンタ注射液の副作用・問題点

注射液ですので、注射のたびに痛みがあり、場合によっては注射部位の腫れ、出血を認めることもあります。また、治療を開始するとある程度の回数は通院が必要です。
さらに、プラセンタ注射を一度でも接種すると献血が出来なくなります。
その理由は、ヒト胎盤を使用しているため、現在の技術で検出限界以下のウイルスが混入している可能性を完全に否定できないからです。ただし、これまでプラセンタ注射による感染の報告はありません。

プラセンタ療法で使用するサプリメントについて

プラセンタ療法には、「飲むプラセンタ」とも表現される、飲み薬であるサプリメントを用いることもあります。

プラセンタサプリは何でできているか?

注射薬であるラエンネックの内服薬として、「ラエンネックピーオー(LAENNEC P.O.)」という製品があります。注射薬と同じく、ヒトの胎盤から製成されています。こちらは2カプセルで注射1回分と同じプラセンタエキスを摂取できます。ただし取り扱いは医療機関のみになります。
このほかブタ、ウマ、ヒツジの胎盤から作られたサプリメントもあります。こちらは医療機関以外でも購入が可能です。ブタとウマのプラセンタサプリメントは、日本国内で採取されたプラセンタから精製されていますが、ヒツジについてはオーストラリアやニュージランドのヒツジが利用されています。

プラセンタサプリの効果

注射液と同様に効果が期待できますが、ここでは日本で行われたブタプラセンタに関する肌質への影響と更年期障害に対する影響について、研究結果をご紹介しておきます。

ヒトの肌質に及ぼす影響の研究結果

ブタプラセンタエキスの経口摂取が、ヒトの肌質に及ぼす影響を臨床的に検討することを目的に行われた研究です。
40~59歳の健康な女性20人を2群にわけ、1群には1日1回プラセボ(効果のない同じ形をしたカプセル)、もう1群には200mgの経口ブタプラセンタ製剤を1回、4週間摂取してもらいました。
肌質を評価する指数、および簡易更年期指数(SMI)を、開始前および4週間後に評価しています。
4週間後の肌を評価するパラメータは、プラセボ群と比較して経口ブタプラセンタ製剤群で有意に改善されていました。
これらの結果から、経口ブタプラセンタ製剤は、冬の乾燥する季節に肌の状態を維持するためのサプリメントとして利用できることが示唆されました。
(出典:Nagase M. Effect of porcine placental extract supplement on skin condition in healthy adult women: a randomized, double-blind placebo-controlled study. Nutrients. 2020;12(6):1671. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7353038/)

更年期障害に対する研究結果

次は、更年期障害に対する研究です。
更年期障害を抱える日本人女性 50 名を対象に、経口ブタプラセンタ製剤(300 mg/日)またはプラセボを12週間内服してもらいました。
調査開始前と12週間後に、簡易更年期指標(SMI)、女性ホルモンだけでなくそのほかの血液検査や尿検査も実施しています。
12週後、経口ブタプラセンタ製剤群の総SMIスコアは、プラセボ群よりも統計学的に有意に改善していました。
また更年期障害に認められる血管運動症状、精神症状、身体症状は、経口ブタプラセンタ製剤群の内服を開始する前と比較して、8週目及び12週目に有意に改善していました。
なお、ホルモン値はいずれの群でも変化していませんでした。
これにより、経口ブタプラセンタ製剤は、ホルモンバランスそのものを改善するものではなく、更年期障害の症状を改善させることがわかりました。
(出典:Ktanohara M. Effect of porcine placental extract on the mild menopausal symptoms of climacteric women. Climacteric. 2017;20:144-50. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28112981/)

プラセンタサプリの副作用

2つ目の研究では、経口ブタプラセンタ製剤の内服による副作用の影響も調査されていますが、副作用は観察されませんでした。

飲み薬でもアレルギー反応を起こすことがありますので、全く副作用がないというわけではありません。ただし、注射に伴う痛みや輸血ができなくなるといった注射液のもつ課題は解決されます。

【まとめ】プラセンタの注射とサプリメントの効果や副作用の違い

今のところ、プラセンタ注射液とサプリメントを比較した研究はありません。したがって、現時点でどちらが優れているということを断定することは困難です。
ただ、いずれも効果のあることがわかっていますので、興味を持たれた方は、ぜひ主治医にご相談ください。