おすすめの乳液の選び方を年代と目的別で解説

おすすめの乳液の選び方を年代と目的別で解説

乳液はスキンケアに欠かせないアイテムの1つですが、ひとえに乳液と言ってもいろんな特徴のものがあります。たくさんあるとどれを選ぶべきか迷ってしまいそうですが、その中から自分の肌や目的に合うものを使うことで、効果的なスキンケアを行うことができます。
ここでは、乳液の成分や役割、選び方について解説していきます。

乳液の成分

乳液は水をベースとして、以下のような成分を含んでいます。

保湿剤

水と相性が良く、水分を保持する働きがあります。水溶性アミノ酸や乳酸ナトリウム、PCA(ピロリドンカルボン酸)、グリセロール(グリセリン)、プロピレングリコールなどの小さい分子から、ヒアルロン酸ナトリウムといった大きい分子まで、さまざまな保湿成分が使われています。
小さい分子は低温下で水分の保持力が低下しやすい欠点がある一方、大きい分子は温度の影響を受けにくいという特徴があります。またアミノ酸や乳酸、PCAはNMF(天然保湿因子)の成分として、ヒアルロン酸は細胞外マトリックス(細胞の外の領域を満たす物質)などの成分として、生体内にも存在しています。

エモリエント剤(油分)

肌の表面に油膜を張る、あるいは皮膚角質層の細胞間脂質を補うことで、肌に水分を閉じ込めたり、皮膚の弾力や柔軟性を上げる働きがあります。
皮脂の成分に似たスクワランやグリセリド類、細胞間脂質に似たセラミド類やコレステロールエステル類など、人の肌を構成する脂質成分に近いものが使われています。
その他、植物由来のホホバ油や細菌由来のリノレン酸、石油由来のミネラルオイルなど、さまざまな種類のエモリエント剤があります。

その他

上記の他に界面活性剤や防腐剤、酸化防止剤、日焼け止め成分、生理活性物質(生理的な活動を調節する物質)などが含まれています。
界面活性剤は水と脂質の両方と相性が良く(両親媒性)、反発しあう脂質と水、水溶性物質をなじませる働き(乳化作用)があります。これによって、脂質成分のエモリエント剤が水の中で安定する他、水溶性の保湿剤が油分(皮脂や細胞間脂質)の多い皮膚に浸透するようになります。
また美容液やクリームなどに含まれる保湿剤やエモリエント剤は、脂質や糖質、アミノ酸などでできていることが多く、これらは細菌の栄養となりうるため、雑菌の繁殖を防ぐ目的で防腐剤が添加されています。
酸化防止剤は、酸化しやすい脂質類(エモリエント剤や界面活性剤)などの酸化を防ぐために添加されることがあります。
さらに最近は、紫外線を吸収・反射する働きがある日焼け止め成分や、シミの元となるメラニンの合成を抑制するような生理活性物質などが含まれていることも多いです。

乳液の役割・種類

肌(皮膚の角質層)を保湿するものには化粧水、乳液、クリームの大きく3つがあり、これらには水分・保湿剤とエモリエント剤の配合量に違いがあります。
化粧水はエモリエント剤をほとんど含まず、主に水と保湿剤で構成されているのに対し、乳液とクリームはこれらの成分に加えてエモリエント剤も適度に(5~70%ほど)含んでいます。そのため、化粧水は肌に水分を取り込んで保持する役割があり、乳液とクリームは肌の水分蒸発を防いだり細胞間脂質を補ったりすることで、皮膚の水分量や弾力、柔軟性を向上させる役割があります。
化粧水を塗った上から乳液やクリームを塗ることで、化粧水で取り込んだ水分が肌に閉じ込められ、効果的に保湿することができます。
乳液とクリームでは、エモリエント剤の含有量が異なります。クリームの方がエモリエント剤が多く、べたつきや粘度がある一方で、乳液はエモリエント剤に加えて保湿剤や水分も多く含んでいるため、とろみやサラサラ感があります。個人の肌質やテクスチャーの好みで使い分けたり、両方を使ってみたりして、自分に合うスキンケア方法を探してみると良いでしょう。
さらに乳液はエモリエント剤と水分・保湿剤の配合量の違いから、一般的な保湿乳液だけでもいろんなテクスチャーのものがあります。また、含まれている美容成分 (生理活性物質)などによって効能が付加されたものもあり、日焼け止め成分を含んだUV乳液や、下地効果がある色付きのティント乳液など、さまざまな種類のものがあります。その中から自分の肌質や目的に合うものを選んで使うことが、効果的なスキンケアにつながります。

年代別の乳液選び

加齢によるホルモンバランスの変化などが影響して、皮脂の減少や皮膚真皮層にある線維芽細胞の機能低下、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)速度の低下などが見られるようになります。その結果、年齢に伴って皮膚の弾力や水分、厚みが失われたり、シミやくすみ、シワ、たるみが増える傾向にあります。
年齢によって変わる肌の状態に合わせて乳液を選びましょう。

10代

10代は女性ホルモンや男性ホルモンの分泌が多く、皮膚の新陳代謝や皮脂の分泌が活発であるため、脂性肌(オイリー肌)やニキビで悩む人が増えてきます。
ただ、小児期から思春期にかけた時期は皮膚の保護機能が未発達な部分があり、外部環境に左右されやすいと考えられています。特に冬場は肌の水分が逃げて乾燥しやすい傾向にあります。脂性肌を気にして化粧水しか使わない人も多いようですが、乳液も使ってしっかり保湿しましょう。
ニキビの原因となるアクネ菌の殺菌成分が含まれたものや、油分が少ないさっぱりした乳液がおすすめです。

20代

皮脂の分泌量は20代半ばごろにピークを迎え、その後は徐々に減少していきます。また皮膚の保護機能は20代で成熟すると考えられています。皮脂が多いと感じるときは油分の少ないさっぱりしたもの、乾燥気味だと感じるようになったら油分が少し増えたものを使うと良いでしょう。
将来を見据えたシミ対策として、日焼け止め成分を含んだUV乳液もおすすめです。
20代は前半と後半で肌の状態が変化しますので、自分の肌質や肌の状態に合わせて適切な乳液を選ぶようにしましょう。

30代

30代は20代より皮脂の分泌量や細胞間脂質が少なく、年齢に伴ってさらに減少していきます。また30代後半ごろから卵巣機能が衰えはじめ、女性ホルモンの分泌量も徐々に下がってきます。こういった影響を受けて肌の乾燥やくすみ、きめの乱れが目立ち始めるので、油分と水分をしっかりと補うようにしましょう。
セラミドやヒアルロン酸などを含んだ乳液は、保湿力が高くおすすめです。またシミ対策としてUV乳液も使うと良いでしょう。

40代

30代より皮脂量や細胞間脂質が少なくなり、年齢に伴ってまたさらに減少していきます。加えて40代後半ごろになると閉経を迎え、女性ホルモンの分泌量が急激に低下します。すると乾燥や小ジワ、シミ、そばかす、くすみなどが見られる他、肌のトーンが暗くなってきます。油分と水分を補うだけでなく、エイジングケア効果がある乳液を使ってみましょう。メラニン生成を抑えるビタミンC誘導体が入った乳液や、肌をきれいに見せてくれるティント乳液などがおすすめです。

肌質別の乳液選び

肌の特徴には個人差があり、角質層の水分量と皮脂の分泌量によって以下のように分けられます。年齢だけでなく、肌質の特徴も考慮して乳液を選ぶと良いでしょう。

脂性肌(オイリー肌)

水分量はちょうど良いですが、皮脂量が多い状態です。
油分が少なめのさっぱりしたもの、皮脂の分泌を抑制する成分や、皮脂を吸着する成分が配合されたものがおすすめです。乾燥すると皮脂の分泌が多くなってしまうので、脂性肌でも保湿はしっかりしましょう。

乾燥肌

角質層の細胞がはがれやすくなっており、皮脂と水分が両方とも不足した状態ですので、水分と油分をしっかり補いましょう。
ヒアルロン酸やアミノ酸、セラミドなどが含まれた乳液がおすすめです。特に乾燥していると感じるところは、クリームなどを重ね付けしても良いでしょう。

普通肌

皮脂量と水分量がちょうど良く、乾燥肌と脂性肌の中間くらいです。
これが理想的な肌の状態ですので、自分の好みや年齢に合わせた乳液を使いましょう。

混合肌(インナードライ)

皮脂は多いですが、水分が不足している状態です。
この場合、肌の水分不足によって皮脂の分泌が過剰になっていると考えられますので、まずは水分をしっかり補いましょう。皮脂が気になる方はさっぱりした乳液がおすすめですが、水分が足りていませんので、クリームを使っても良いでしょう。

【まとめ】[皮膚科]おすすめの乳液の選び方を年代と目的別で解説

乳液は肌に油膜を張って水分蒸発を防ぐ他、細胞間脂質を補う役割があります。化粧水やクリームと併せて使うことで、効果的な保湿や肌の弾力・柔軟性の向上が期待できます。さらにエモリエント剤と水・保湿剤の割合や、含まれる美容成分などによってテクスチャーや効能に違いがあり、さまざまな種類の乳液が売られています。たくさんある乳液の中から、自分の肌質や目的に合ったものを選んで使うことが効果的なスキンケアにつながりますので、まずは自分の肌について知ることから始めましょう。

用語説明

①NMF(天然保湿因子)

皮膚表面の角質層を構成する角質細胞は、通常細胞にある細胞内小器官(細胞の生命活動を行う装置)をすべて失っている代わりに、NMFを含んでいます。
NMFはアミノ酸や乳酸、PCA、ミネラル類、尿素などの水溶性物質で構成されており、角質層を保湿する役割があります。

②細胞間脂質

角質層の角質細胞の間を満たす脂質で、主にセラミドや脂肪酸、コレステロールなどの両親媒性脂質(水にもなじむ脂質)でできた膜と、水の層が交互に重なったミルフィーユのような構造(ラメラ構造)をとっています。
この層構造は、皮膚の保湿機能やバリア(皮膚を介した物質の出入りを防ぐ)機能、柔軟性に関わっています。

③線維芽細胞

皮膚は表面の表皮層と、その下の真皮層に分けられます。
真皮層に存在する線維芽細胞は、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなど、皮膚や組織を支える線維を作り出します。加齢によって線維芽細胞の線維合成が低下することが分かっており、これが肌の弾力低下などを引き起こして、シワやたるみの原因になると考えられています。

④皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)

表皮の最下層(基底層)にある角化細胞は絶えず分裂し、新しい細胞が古い細胞を上層へと押し上げています。細胞は上層へ移る過程で性質や形を変えながら、最上層(角質層)で角質細胞となった後に垢として剥がれ落ちます。そうして表皮層の細胞が常に生え変わることで、傷の治癒が促されたり、シミやくすみの発生が抑えられます。

出典・参照

L.P.ガートナー、J.L.ハイアット 著「最新カラー 組織学」西村書店

富田健一、難波富幸「化粧品原料の現状」油化学, 38(4): p270-275, 1989

高橋康之「保湿化粧品とその作用」日本香粧品学会誌, 42(4): p280-287, 2018

南野美紀「化粧品の種類と使い方―スキンケア化粧品―」日本香粧品学会誌, 42(2): p109-124, 2018

熊谷広子、渡辺弘子 他「加齢に伴う顔面皮膚の生理的・形態的変化(第1報)」日本化粧品技術者会誌, 23(1): p9-21, 1989

谷明日香、坂下理穂 他「卵殻膜、同時加工布がヒトの皮膚性状に及ぼす効果」繊維製品消費科学, 59(11): p871-877, 2018

篠力、篠美和 他「皮膚科医からみた荒れ症の問題点(その2)」皮膚, 23(4): p496-505, 1981

MA Farage, KW Miller, et al. Characteristics of the Aging Skin. Advances in Wound Care. 2(1): p5-10, 2013

GC Sephel, JM Davidson, et al. Elastin Production in Human Skin Fibroblast Cultures and Its Decline with Age. Journal of Investigative Dermatology. 86(3): p279-285, 1986

監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック
理事長・統括院長

野田 のだ 知路 とものり - Noda Tomonori -

監修医師 トイトイトイクリニック理事長・統括院長 野田 知路

福岡大学医学部形成外科、大手美容皮膚科院長を経て、医療脱毛をメインとする美容皮膚科クリニックを都内(渋谷原宿、池袋)で展開中。
常に自分の家族ならこうしたいと考えるよう心掛け、「家族にも勧められる美容医療」を信条としています。