自分でするセルフアートメイクのリスクと医療アートメイクとの違いを解説

監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック
理事長・統括院長

野田 のだ 知路 とものり - Noda Tomonori -

監修医師 トイトイトイクリニック理事長・統括院長 野田 知路

福岡大学医学部形成外科、大手美容皮膚科院長を経て、医療脱毛をメインとする美容皮膚科クリニックを都内(渋谷原宿、池袋)で展開中。
常に自分の家族ならこうしたいと考えるよう心掛け、「家族にも勧められる美容医療」を信条としています。

自分でするセルフアートメイクのリスクと医療アートメイクとの違いを解説

アートメイクの普及にともない、セルフアートメイクのキットを販売するサイトや、セルフアートメイクを教える講座なども増えてきました。しかし、アートメイクは感染症などのリスクが高いため、自宅などで簡単に行えるものではありません。また、失敗した場合、除去には多額の費用がかかることもあります。
そこで今回は、セルフアートメイクの危険性に焦点を当て、セルフアートメイクと医療アートメイクの違いを解説します。

アートメイクとは?自分でできるの?

セルフアートメイクがリスクの高い行為であることを理解するためには、アートメイクがどのような施術であるかを知る必要があります。

アートメイクは医療行為の一種です

アートメイクとは、皮膚に針などで傷をつけて色素を入れ、染色するものです。「メイク」とはいうものの通常のメイクと同じ感覚で行えるものではなく、針を刺す深さや色素の発色具合、デザインセンスなど、知識・経験・技術が要求される繊細な施術です。
アートメイクで色素を入れるのは、皮膚のごく浅い部分です。しかし、人体に傷をつける行為であり、過去には無資格者の施術による事故も多数発生しているため、医療行為とされています。

セルフアートメイクは違法ではないもののリスクが高い行為です

セルフアートメイクは、自分自身の体に傷をつけるいわば“自傷行為”です。そのため、自己責任で行う限りでは、必ずしも違法ではありません。
しかし、セルフアートメイクは副作用などのリスクが高く、失敗しても簡単に消すことができないため、おすすめできません。次の項では、セルフアートメイクがおすすめできない理由について、さらに詳しく解説します。

セルフアートメイクがおすすめできない理由

セルフアートメイクのリスクは非常にたくさんありますが、その中でも特に注意が必要なものについて解説します。

技術的に難しい

アートメイクは、針の深さが浅すぎると色がうまく入らず、深すぎると色素がにじむため、0.1mm単位で針の深さを調節しなければなりません。また、肌の色で色の出方が変わるため、素人判断では思うような発色が得られないことがあります。さらに、施術中に顔全体のバランスを客観的に判断することは、とても難しいものです。
「クリニックで満足のいく仕上がりにならなかったから」という理由でセルフアートメイクを試みる方もいますが、技術的な面から考えると第三者に施術してもらうほうが成功率は高くなります。

感染症のリスクが高い

クリニックなど医療機関では、感染症のリスクをおさえるために徹底した衛生管理が行われています。施術後も、施術部位を清潔に保つケアを行い、塗り薬などが処方されることもあります。
しかし、自宅などでは清潔な環境を用意することが難しいため、感染症のリスクが高くなります。また、消毒液や塗り薬なども適切なものが用意できるとは限りません。
施術部位が感染症を起こすと、痛みや腫れが長引いたり患部が化膿したりすることもあります。衛生管理が徹底できない以上、セルフアートメイクは避けるべきです。

最悪失明のリスクも!

セルフアートメイクの際に針で血管を傷つけると、内出血を起こします。そしてアイラインのアートメイクで目に傷がつくと、失明する可能性があります。また、体質によっては、施術部位がケロイドになることもあります。色素の成分で、アレルギーを起こす可能性も否定できません。場合によっては、副作用で一生苦しむことになります。
クリニックで施術を受ける前には医師による診察があり、施術をすべきでないと判断したときには施術が中止になることもあります。また、医学的知識のある医師や看護師が施術するため、血管や眼球を傷つけるミスは起きにくいです。やはりアートメイクは、医師の管理下にある医療機関で施術を受けるべきでしょう。

失敗しても簡単に消すことはできない

アートメイクは、失敗しても簡単に消すことはできません。
すぐに消したい場合は、医療用レーザーなどで除去しなくてはなりません。特に、セルフアートメイクでは「色がうまく出なかった」「デザインが思いどおりにいかなかった」「違う場所に色が入ってしまった」などのトラブルが起きがちです。
簡単に消すことができないアートメイクだからこそ、セルフアートメイクは避けるべきです。

セルフアートメイクに失敗したらどうなるの?

セルフアートメイクに失敗して除去したい場合には、レーザーや手術で色素を取り除かなくてはなりません。いずれにせよ、医療保険が適用されない自費診療となるため、高い治療費が必要になります。

レーザーで除去する

アートメイクを除去する際には、レーザーを使うことが多いです。
レーザーは黒い色素によく反応しますが、1回の照射で色素を完全に除去できることは少なく、数回の照射が必要です。ただし、複数の色素を混ぜて色をつけている場合は、除去が難しくなります。色の修正のために肌色や白色の色素を入れていると、除去はさらに難しくなります。また、色素の成分によっては、レーザー照射で色が濃くなることもあります。
なお、レーザーで色素を除去すると、照射部分に傷が残ることがあります。また、脱毛のリスクがあるため、眉などに照射する場合は注意が必要です。レーザーは照射後、1週間ほど赤みや腫れが出たり、かさぶたになったりすることもあるため、ダウンタイムにも配慮しなくてはなりません。

皮膚を削り取る

レーザーで、皮膚と色素を同時に取り除く方法です。ただし、この方法では皮膚の深い部分に入った色素は除去できないことがあります。また、深く削ると傷が残りやすくなり、脱毛する可能性もあります。
レーザー照射後は、しばらく患部に赤みや腫れが残ります。また、適切なケアをしないと傷が残ることがあるため、継続的なケアが必要です。

皮膚を切除する

皮膚を切り取って縫合する方法です。手術跡が残ることは避けられません。毛根も除去されてしまうため、眉毛などは毛が生えてこなくなります。
ただし、除去する部位や範囲によっては、皮膚を切除するほうがきれいに仕上がることがあります。

除去剤で色素を取り除く

乳酸やグリコール酸などの除去剤を皮下に注入して、脱色する方法です。この方法は、薬剤の加減が難しく、ひどい炎症が起こって跡が残るケースもあるため、基本的には炎症をしっかりコントロールして行う必要があります。
そのほか、肌色の色素で色を目立たなくする方法もありますが、肌の色は体温や血流、季節などによって変化するため、色素を入れた部分がかえって目立つことがあります。

【まとめ】自分でするセルフアートメイクのリスクと医療アートメイクとの違いを解説

アートメイクは、医療行為です。セルフアートメイクは違法ではありませんが、失敗や副作用のリスクが高いため、避けるべきです。また、セルフアートメイクに失敗すると、除去するために高額の治療費が必要となります。
「安いから」「面白そうだから」と安易な気持ちでセルフアートメイクを試すのは危険です。アートメイクは、必ず医師のいる医療機関で施術を受けるようにしましょう。