
アートメイクを受けた後、しばらく塗布するようにクリニックから渡されるワセリンや軟膏。特にワセリンはべたついて使いにくいと感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
使い慣れていないとワセリンを塗ることに抵抗を感じるかもしれませんが、このワセリンにはアートメイクを受けた皮膚を守ってくれる大切な役割があるのです。
今回、なぜワセリンを塗る必要があるのか、その理由とワセリンの効果的な塗り方、塗布する期間についてご紹介します。ワセリンを上手に使いこなして、アートメイクをきれいな状態に保ちましょう。
目次
どうして施術後にワセリンを塗るの?ワセリンを塗る理由とは
クリニックから渡されるワセリンは、施術後のデリケートな皮膚にはなくてはならないものです。
では、なぜクリニックはワセリンを処方してまで塗ってほしいのでしょうか。その理由を知れば、施術後の皮膚にワセリンがいかに重要なのかがおわかりいただけるでしょう。それでは、ワセリンが必要な理由をご紹介します。
色素の流出を防いでアートメイクの持ちをよくする
アートメイクを施術したての皮膚には細かい傷がたくさんあり、非常にデリケートな状態です。特に施術後1週間は、アートメイクで入れた色素が体外に排出されやすい期間でもあります。
色素が皮膚の内部に定着していないので、汗や水などで流れやすいのです。この期間に施術箇所にワセリンを塗布すると汗や水から皮膚を保護してくれるので、色素が流れ出てしまうのを防ぐことができます。
ワセリンは化粧水やクリームのように皮膚内部に浸透するのではなく、皮膚の表面に付着して留まります。ワセリンが皮膚の保護膜の代わりをしてくれるのですね。そのため、皮膚にバリアを張り汗や水を弾いてくれるのです。アートメイクの色素の流出を防ぎ持ちをよくするためにも、ワセリンをしっかり塗ることが大切です。
乾燥やかゆみを防ぎ皮膚の回復を促す
ワセリンは原油から抽出した油脂を高純度で精製して作られた保湿剤です。原油ときくと身体に悪そうなイメージですが、ワセリンはミネラルオイルの一種であり安全性の高い保湿剤なのです。
ワセリンそのものには、皮膚に栄養やうるおいを与える効果はありません。しかし、皮膚の内部にある水分が蒸発して体外に出てしまうことを防ぐことができるので、皮膚の保湿に役立ちます。そのため、ワセリンを塗ることで皮膚の乾燥やかゆみを和らげることができるのです。
施術箇所は傷ついているので乾燥しやすく赤みもあり、回復してくるとかさぶたができます。しかしこのかさぶたが乾燥し出血すると皮膚の新陳代謝が早まってしまい、アートメイクで注入した色素が排出されやすくなってしまうのです。そのため、施術箇所はできるだけ乾燥しないように保湿をすることが大切です。
また、皮膚が十分に保湿されていれば、かゆみも起きにくくなります。皮膚が乾燥してしまうとどうしてもかゆみがでてしまいます。かいてしまうと表皮が荒れて炎症を起こしたり、雑菌が入り込み感染症などを引き起こしたりなど、思わぬトラブルを招いてしまいかねません。
特に、リップラインのアートメイクをした場合は唇は薄い皮膚に覆われているため、乾燥するとすぐにひびが入ってしまいます。出血すると色素の定着にばらつきがでてしまい、仕上がりにも影響してしまいます。
ワセリンを施術箇所に塗ることで水分の蒸発を防ぎ、かゆみが起きないように心がけましょう。
肌を外的刺激から保護してくれる
ワセリンは皮膚の表面に膜を作ってくれるため、ほこりや水分などから皮膚を守ってくれます。
施術後は感染症や炎症などを引き起こさないよう、ほこりや雑菌から施術箇所を守ることが大切なので、ワセリンを塗ることできっちりガードしましょう。ワセリンは低刺激であるため、赤ちゃんや敏感肌、日焼けした肌にも使える処方なので安心して使えますね。
ワセリンは施術後いつまで塗る必要がある?正しい塗り方は?
施術後のデリケートな皮膚を守ってくれるワセリン。
では、ワセリンは施術後いつまで塗る必要があるのでしょうか。また、ワセリンの効果を最大限に引き出すために、どのようにワセリンを塗ればいいのでしょうか。ここでは、塗布する期間や正しい塗り方についてご紹介します。
施術後最低3日間は塗ろう
施術後3日間はワセリンを患部に塗るようにしましょう。
べたつきが気になる方もいるかもしれませんが、施術後の色素が排出されやすい時期に皮膚を保護してあげることは皮膚の回復を促すことにもつながります。腫れや赤みが消えてきたからといって自己判断でワセリンの塗布をやめてしまうと、アートメイクの持ちにも影響しかねません。
皮膚がきれいな状態で回復すれば、アートメイクの色素も皮膚内部に定着し、仕上がりもよくなります。できれば、施術後1週間は施術箇所にワセリンを塗り、安静に過ごすようにしましょう。
ワセリンの正しい塗り方とは?
ワセリンを塗る際は、まず手を洗い施術箇所も清潔にしてから塗ります。
ワセリンの量が多すぎると逆にほこりなどが付着しやすくなるので、少量を手に取り薄く伸ばすように塗布します。手のひらで少し温めることで伸びやすくなります。細かい部分は綿棒やコットンなどを使って丁寧に塗ります。薄く伸ばせば、ワセリンのべたつきも気にならないでしょう。
塗る時には、こすったり強く押したり皮膚に刺激を与えないよう優しく丁寧に塗ることがポイントです。皮膚の回復や仕上がりのためにも、刺激を与えないよう十分に注意して塗ってください。
また、ワセリンはできれば6時間ごとに塗布すると、皮膚の保湿効果を維持できるという研究結果があります。清潔な皮膚にこまめにワセリンを塗布することで、傷ついた皮膚をしっかり保護してあげましょう。
忘れないで!ワセリンを塗らないとどうなってしまう?
アートメイクを受けてまだ日が浅いうちはいつも通りの生活ではなく、さまざまな場面で注意することがあります。ワセリンによるケアも、意識しなければ忘れてしまいがちです。
しかし、ワセリンを塗り忘れるとどうなってしまうのでしょうか。ワセリンを塗らないことで起きるデメリットをご紹介します。
乾燥して出血する
施術後の皮膚はダメージを負っているので、皮膚本来の機能が低下しています。そのため、普段以上に気にかけてあげなければ、皮膚はすぐに乾燥してしまいます。乾燥しやすいので、すぐにひびが入ってしまい出血しやすくなってしまうのです。
こうなってしまうと、皮膚の回復が遅れてしまい、注入した色素もさらに排出されやすくり、仕上がりが悪くなってしまいます。
施術後の皮膚にとって、乾燥は大敵です。普段以上のケアを心がけるようにしましょう。
皮膚が外的刺激にさらされてしまう
ワセリンは油そのものなので水に強く、皮膚の表面に薄い膜を張ることができます。これが、外的刺激から皮膚を守るバリアの役割を果たしてくれるのです。
施術後の皮膚は細かい傷がありデリケートなので、普段以上に傷つきやすく雑菌も入り込みやすい状態です。ワセリンによるバリアがないとほこりや雑菌が侵入しやすので、炎症や感染症が起きやすくなってしまうのです。大切な皮膚を守るためにも、こまめにワセリンを塗るようにしましょう。
【まとめ】大切な皮膚を守るために
ワセリンは施術後の皮膚を守るだけでなく、アートメイクの持ちや仕上がりをよくするために必須なアイテムです。また、ワセリンは手に入れやすく比較的安価であるため、継続して使いやすいアイテムでもあります。
できるだけ継続してワセリンを使うことは、皮膚をよい状態にキープしてアートメイクをより長く楽しむことにもつながります。この機会にワセリンの実力を知って、上手に活用していきましょう。
監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック
理事長・統括院長
野田
知路
- Noda Tomonori -
