クレンジングの種類を徹底比較!正しい選び方も解説

監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック
理事長・統括院長

野田 のだ 知路 とものり - Noda Tomonori -

監修医師 トイトイトイクリニック理事長・統括院長 野田 知路

福岡大学医学部形成外科、大手美容皮膚科院長を経て、医療脱毛をメインとする美容皮膚科クリニックを都内(渋谷原宿、池袋)で展開中。
常に自分の家族ならこうしたいと考えるよう心掛け、「家族にも勧められる美容医療」を信条としています。

クレンジングの種類を徹底比較!正しい選び方も解説

日々のメイク落としに欠かせないクレンジング。
メイク汚れをきれいに落とすことは、スキンケアの一環として洗顔と同じくらい重要です。
クレンジングにはさまざまな種類のものがあり、肌質やメイクの濃さによって使い分けることで、効果的なメイク落としにつながります。
クレンジングの成分解説や各種クレンジングの比較を通して、種類ごとの違いと目的別の選び方について知っておきましょう。

クレンジングの成分

メイク下地やファンデーション、マスカラなどをはじめとする化粧品は、シリコンや合成ポリマーなどの樹脂・油分を主成分としています。
こういった油汚れを落とすことを目的として、メイククレンジングには以下のような成分が含まれています。

油剤、脂質成分

油分同士は相性が良く、油汚れは油に溶けます。
クレンジングには化粧品の油汚れを溶かす溶剤として、ミネラルオイルやシリコン油、植物油(ホホバ油など)、エステル油(イソノナン酸イソノニルなど)といった、さまざまな油剤を含んでいます。
分子が小さく、さらさら感がある(粘度が低い)油剤ほど油汚れに浸透しやすく、メイクを落とす力が高い傾向にあります。しかし、同時に手からこぼれて使いにくいという欠点があるため、とろみのある(粘度が高い)油剤と組み合わせることが多いです。

界面活性剤

脂質と水の両方と相性が良く、この2つをなじませる働き(乳化作用)を持つ物質を界面活性剤といいます。
界面活性剤によって化粧品の油汚れや、汚れを吸い取った油剤などが水に溶け出し、メイクを洗い流しやすくなります。
石油由来の合成界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)が多いですが、最近では安全性・自然志向の人に向けた天然由来のものや、アミノ酸、糖をベースとした界面活性剤の開発・利用も進んでいます。
具体的には、納豆菌由来のサーファクチンやココナッツ由来のココグルコシドなどがあります。

その他

上記の他に防腐剤や保湿成分、抗酸化物質、pH調整剤などが含まれています。
クレンジングには、細菌の栄養となりうる脂質などが含まれているため、雑菌の繁殖を防ぐ目的でパラベンなどの防腐剤が入っています。同じ目的で界面活性剤が使われることもあります。
保湿成分として、肌に水分を保持するグリセリンや乳酸、肌に水分を閉じ込めるエモリエント剤などもよく入っています。
脂質成分(油剤、界面活性剤など)や肌の酸化を防ぐ抗酸化物質として、トコフェロール(ビタミンE)などが含まれている場合もあります。
また肌を健康に保つ弱酸性の皮脂膜を壊さないように、クレンジングの酸の強さを調整する pH調整剤も入っています。クエン酸ナトリウムなどがよく使われ、pH4~7(弱酸性~中性)くらいに調整されたものが良いとされています。

クレンジングの種類

クレンジングには、以下のようにさまざまな種類のものがあります。

クレンジングオイル

油剤のみ、または油剤をベースとして界面活性剤や水などを含むタイプです。
クレンジング力が高く、ウォータープルーフのコスメや日焼け止めなど、強力で落ちにくいメイクを落とすのに向いています。しかし、使用後に肌が油っぽくなることがあり、これがニキビの原因になることもあるので、使用には注意が必要です。

クレンジングバーム

植物油(ホホバ油など)や蜜ろう、シアバターなどの油剤をベースとして、界面活性剤や水などを含むタイプです。
テクスチャーはクリームに似ていますが、肌に塗ると体温で溶け、液状になります。クレンジング力は高く、ウォータープルーフなどの強力なメイクを落とすのに向いています。

クレンジングクリーム

蜜ろうやワセリン、ミネラルオイルなどの油剤や水をベースとして、界面活性剤などを含むタイプです。
オイルやバームには劣りますが、クレンジング力は比較的高く、強力なメイクにも対応しています。

クレンジングミルク

水をベースとして、界面活性剤や油剤などを含むタイプです。
乳液のようにとろみがあって白濁しており、ホホバ油などの油剤や、保湿成分であるエモリエント剤などを多く含んでいます。肌への負担は小さいですが、クレンジング力は比較的弱く、軽めのメイクを落とすのに向いています。

クレンジングリキッド

水をベースとして、界面活性剤や油剤などを含む液状タイプです。
さらさらしたテクスチャーが特徴で、濡れた手でも使えるものが多いです。油剤を適度に含んだものは比較的クレンジング力が高く、油剤が少なめのオイルフリーのものは低い傾向があります。

クレンジングジェル

水や油剤をベースに、界面活性剤などを含むタイプです。
油剤をベースとした油性ジェルや、水をベースとして水溶性高分子 (水に溶かすと粘性が出るポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなど) でゲル状にしたウォータージェルがあります。
油性ジェルはクレンジング力が高く、強力なメイクにも対応していますが、ウォータージェルは比較的弱く、軽めのメイク落としに向いています。

クレンジングの使い方

  • ここに記載しているのはあくまで大まかな傾向ですので、商品の説明に従って使用してください。

クレンジングには、洗い流すタイプと拭き取りタイプがあります。
洗い流しタイプには、オイル(界面活性剤入り)やウォータージェル、リキッドなどが多いです。
拭き取りタイプには、オイル(油剤のみ)や油性ジェル、油分の多いコールドクリームなどが多いです。
ミルクタイプはどちらでも落とせる場合が多いです。
クレンジングで大事なのは、クレンジングとメイク汚れをよくなじませること、そして、メイクと一緒にクレンジングもしっかり落とすことです。
特にクリームのようなクレンジングでは、肌に塗ってから感触が軽くなるまでマッサージし、しっかりなじませてから落とすのが良いです。そして、使用後は洗顔料などで顔を洗い、クレンジング剤をしっかり落とすようにしましょう。

肌質別クレンジングの選び方

クレンジングは、基本的にメイクの濃さに合わせて選ぶのが良いですが、人によってはクレンジングの成分が合わないことがあります。そういうときは、肌質も考慮して選んでみましょう。

普通肌

クレンジングの界面活性剤はメイク汚れだけでなく、皮膚のバリアとなる細胞間脂質も剥がしてしまう恐れがあり、場合によっては肌の乾燥や炎症、かゆみを引き起こします。
洗浄力があまり強くない界面活性剤を含むものや、保湿成分を含むミルクタイプがおすすめです。

脂性肌(オイリー肌)

水をベースとしたウォータージェルやリキッド、またここでは紹介していませんが、泡立ち(フォーミング)タイプもおすすめです。
油剤が多いクリームやオイル、バームは肌に油剤が残ることがあり、これがニキビの原因になる可能性があります。もともと皮脂が多く、ニキビができやすい肌なので、こういった油性のクレンジングはできれば避けるか、使用する場合はしっかり落とすようにしましょう。

乾燥肌

油分が多いオイルやバーム、クリーム、ミルクなど、保湿も期待できるクレンジングがおすすめです。
また普通肌の説明で述べたように、クレンジングで表皮のバリアが壊れ、乾燥やかゆみを引き起こす場合があります。もともと乾燥しやすい肌なので、特に強めのクレンジングを使うときは注意しましょう。

混合肌

混合肌は乾燥によって皮脂の分泌量が増加した状態なので、保湿をしっかりする必要があります。肌の油っぽさが気になる人は、さっぱりしていながらエモリエント剤などの保湿成分を含むミルクタイプがおすすめです。

【まとめ】クレンジングの種類を徹底比較!正しい選び方も解説

メイクの油汚れを落とすことを目的として、クレンジングには油汚れを浮かす油剤や、油を水に溶かす界面活性剤などが含まれています。これらの成分組成の違いによって、オイルやリキッドなど、様々な種類のクレンジングが存在します。
場合によっては、肌に残ったクレンジングの油剤でニキビができたり、界面活性剤が皮膚のバリアを壊し、肌が荒れてしまうことがあります。
メイクと一緒にクレンジング剤をしっかり落とすことがスキンケアにもなりますし、肌質やメイクの濃さに合わせてクレンジングを選んで使い分けることが、効果的なメイク落としに繋がります。
クレンジングはただのメイク落としではなく、スキンケアの一環という意識を持って取り組みましょう。

用語解説

文中の用語を解説いたします。

①合成ポリマー

1つの化合物(モノマー)がたくさん繋がって、鎖のようになった化合物をポリマーと言い、化学的に合成されたものを合成ポリマーと言います。
最小単位となるモノマーの種類によって、さまざまな合成ポリマーが存在し、服の繊維やプラスチックなど、モノづくりの素材として幅広く使われています。
化粧品の場合、ファンデーションの皮膜形成剤やマスカラの繊維(ファイバー)などに使われています。

②エモリエント剤

肌の表面に油膜を張る、または細胞間脂質を補うことで、肌に水分を閉じ込める働きがある油剤です。主に乳液や保湿クリームなどに含まれており、代表的なものにミネラルオイルやセラミド類などがあります。

③pH(ピーエイチ、ペーハー)

水素イオン(H+:プロトン)の濃度を表すもので、酸の強さの指標となります。
pHが小さいほど酸性が強く(H+が多く)なり、大きいほどアルカリ性が強く(H+が少なく)なります。

④皮脂膜(アシッドマントル)

皮膚表面は、毛穴の皮脂腺から分泌される皮脂で覆われています。皮膚に住み着く常在菌(アクネ菌など)や、もともと体に備わっている酵素などによって皮脂が分解されると、脂肪酸が産生します。これによって皮膚は弱酸性を呈し、皮膚の健康を害する細菌(黄色ブドウ球菌など)の増殖を防いでいます。

⑤細胞間脂質

皮膚表面の表皮層は5層に分かれ、その最上層に角質層があります。角質層は重なり合った角質細胞で形成され、その角質細胞の間を細胞間脂質が満たしています。
細胞間脂質は両親媒性脂質(水にもなじむ脂質、セラミドなど)の膜と、水の層が交互に重なったミルフィーユのような構造(ラメラ構造)をとっています。この層がバリアとなり、皮膚の水分蒸発や病原体の侵入などを防いでいます。

参考文献

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北本大「生物由来の新素材は、本当に使えるのか?」オレオサイエンス, 11(1): p11-12, 2011

朝田康夫「皮脂分解と皮膚常在菌」皮膚, 9(3): p314-321, 1967

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