最近、「日差しが厳しくなった」と感じることはありませんか?
実際、気象庁による紫外線の観測が始まった1990年以降、紫外線の量は年々増えてきています。紫外線が増加している原因は、温暖化の影響も示唆されていますがはっきりしていません。
特に、日本国内では紫外線は7月から8月にピークをむかえ、午前10時~午後15時の間に、特に紫外線が強く降り注ぐとされています。
紫外線は身体に必要なビタミンDを活性化するなどメリットもありますが、過度な紫外線は肌に様々なトラブルを引き起こし、老化の原因になることもありますので、注意が必要です。
では、具体的に紫外線は肌トラブルにつながるのでしょうか。
目次
紫外線を浴びると肌はどうなるのか?
よく知られているのは「日焼け」です。
「日焼け」は正式には「日光皮膚炎」と呼ばれ、皮膚がやけどに近い状況になります。「日焼け」がひどい人は皮膚の表面だけでなく、奥側の「真皮」にまで皮膚のダメージが及び、真っ赤に腫れるだけでなく水ぶくれまでできてしまいます。
では、なぜ紫外線がそんな「やけど」の状態を引き起こすのでしょうか。
紫外線には波長の短いものから順にUVC・UVB・UVAという3種類があります。
このうち地表に届くのはUVBの一部とUVAです。
紫外線のうちUVBという成分が、細胞を障害することがわかっており、肌に炎症を引き起こすのです。
しかも、紫外線が与えるダメージはそれだけではありません。
紫外線によるダメージを修復しようとメラニン色素が過敏になるため、色が濃くなります。
肌の色が濃い方が、紫外線の影響を受けづらくなるので、身体の防衛反応とも言えます。これはUVBの影響が主といえます。
特にUVAはUVBよりも波長が長いため、皮膚の深いところにある真皮層に到達し、ハリや弾力を生むコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸をつくりだす線維芽細胞を傷つけてしまいます。すると、肌の弾力やシワやたるみを引き起こします。
こうして、年を取ると紫外線の与えるダメージが蓄積して、肌のシミやシワとしてそのまま残ってしまいます。これを「光老化」と呼びます。肌の老化を進ませる要因の約8割が、この紫外線による「光老化」といわれています。
しかも、紫外線による肌の影響はそれだけではありません。
ふつうの人と同じくらいの紫外線を浴びていても、じんま疹がでてきたり、「光線過敏症」といって、光が当たるところだけ湿疹ができたりする場合もあるのです。
このように、紫外線は「日焼け」だけにとどまらず、様々な皮膚トラブルの大元なのです。
こうした紫外線トラブルを防ぐため、サンスクリーンや日焼け止めなどの予防も大事ですが、紫外線を浴びてしまった後のアフターケアも同じくらい大切です。
日焼け後に自宅でできるアフターケア
では次に、自宅でできる「日焼け」後のアフターケアについてみていきましょう。
しっかりと冷やす
先述のとおり、日焼けは「やけど」と同じ。ですので、日焼けの治療の原則はやけどの治療と同じになります。
やけどの初期対応には一般的に流水で冷やすのが、一番効果的とされています。ただし、流水も勢いよくせず、ゆっくり流しましょう。
流水の速度が速いと、傷ついた肌には刺激になってしまいます。やけどの程度によるが、10分から15分以上が望ましいとされていますが、風邪をひかないように注意しましょう。
他にも、ぬれタオルで冷やす、氷や保冷剤で冷やすなどの方法もあります。水を霧吹きで吹きかける方法もあります。ただし、氷で冷やす場合には、冷やしすぎると、かえって肌に負担になってしまいます。タオルで包むなどして温度を調整する必要があるでしょう。
水分補給やミネラル補給をしっかりする
やけどの状態になっていると、バリア機能がはがれた肌から水分がでていきます。特に、日焼けは広範囲に「やけど」をしてしまうため、水分は通常のやけどよりも多く失われていきます。
さらにやけどを修復するのに水分が必要なので、日焼けしている時は、思っているよりも水分がたりません。
日本熱傷学会が提唱している熱傷ガイドラインでも「初期輸液」の大切さが強調されています。輸液の内容はほとんど「水分」や「ミネラル」です。思っている以上に、たっぷりと失われた水分やミネラルを取り、体温自体も内側から冷やし、補ってあげることが大切です。
たっぷり保湿する
肌のバリア機能が「日焼け」でなくなっているので、たっぷり保湿することで、角質のバリア機能をつくってあげることが次のポイントです。
しかし、ドラッグストアを見ると色々な保湿剤があることに気づくでしょう。どれがいいのか悩みますよね。
選び方のポイントはまず「軟膏タイプ」であること。ローションタイプや液体タイプだと傷ついた肌にしみて、ひどくなる可能性があるからです。
基本は白色ワセリンだと一番敏感肌でもしみません。白色ワセリンは肌の水分を外に出さない効果があるので、やけどの治療としてもぴったりです。特に、純度の高いもののほうが肌には優しいでしょう。
ヘパリン類似物質を含むものは角質の保湿機能を高めてくれますが、血行促進作用があるため、人によってはヒリヒリすることもあります。肌に刺激があるようなら、白色ワセリンに変えたほうがよいでしょう。
逆に刺激がないようなら、肌のバリア機能を整えてくれる作用がある分、アフターケアにおススメの保湿剤になります。
尿素入りのものは角質を柔らかくする作用があります。保湿剤の中では日焼け後の保湿には向いていないので、あまり適していません。
日焼け後にやってはいけない注意点
実は、日焼け後のアフターケアでついついやってしまう行為があります。
湯舟で温めたり、マッサージをしたりする
肌の腫れがひどい場合は、湯舟の雑菌が皮膚の炎症を引き起こすことがあるため、しばらくの間はシャワーだけのほうがよいでしょう。
湯舟に入る場合も10分以内にとどめ、40℃以下のぬるま湯にするとよいでしょう。温めると肌の乾燥がすすみ、水分が余計に湯舟にとられてしまいます。
洗う時は、泡でやさしく洗うのもポイントです。タオルでゴシゴシすると、摩擦で肌を傷つけ、雑菌を肌の中に入れてしまいやすくなります。
同じようにマッサージも肌にとってはNGです。マッサージは筋肉の血流はあげ、筋肉の緊張を取ってくれますが、日焼け後の肌にはかえってストレスになってしまうので注意しましょう。
添加物の多いシートパック・保湿液などを用いる
保湿剤やアフターケアで重要なのは、使う市販薬の選び方です。
市販薬を使う場合は、あくまで目安ですが、裏面をみて成分の種類が入っていれば入っているほど、かぶれて炎症がひどくなる可能性が高くなります。
なるべく純正品の成分の種類が少ないものを選びましょう。
よくある誤解に、「今まで使っていて問題なかったから大丈夫」と思っている方も少なくありません。それは正常の肌の場合の話と言えます。
日焼けで肌のバリア機能がうまくいっていない肌だと、通常問題なかった化粧水やシートパックでも悪化することがあります。
炎症が収まってきて、肌のバリア機能がもどってきたら再開するようにしましょう。
【まとめ】日焼け後に自宅でできる正しいアフターケアと注意事項
日焼け後に、自宅でできる正しいアフターケアと注意点について解説しました。
一言でまとめると、「よく冷やすこと」「水分をよくとること」「保湿をすること」が大切です。
炎症がひどい場合には、炎症を抑える軟膏を使うことで、早く良くなったり、重症化を抑えられたりする場合もあります。症状がつらいようなら、早めに皮膚科のクリニックや病院に相談したほうがよいでしょう。
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