美容や特に若返りを考える方にとって、皮膚のたるみを改善するリフトアップは必須といっていい施術です。そして、リフトアップの中で最も注目されている施術のひとつが「糸リフト」でしょう。
糸リフトは、痛みやダウンタイムを最小限に抑えながら、効果的にたるみのリフトアップを実現することができます。
しかし、どんな仕組みで糸リフトが皮膚のたるみをリフトアップしているのか、正確に知る人はあまりいません。また、ハイフ(HIFU)やフェイスリフト(切開リフト)といった他のリフトアップ施術と糸リフトの違いについて知る人も少ないでしょう。
この記事では、糸リフトの仕組みを解説いたします。
この記事を読むことで、糸リフトのリフトアップの仕組みを中心に、糸リフトと他のリフトアップ治療との違いなどを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決いたします。
こんな事がわかる
- 糸リフトを知らない人でも糸リフトでリフトアップする仕組みを知ることが出来る
- 糸リフトとハイフやフェイスリフト(切開リフト)といった他のリフトアップ治療との違いを知ることが出来る
目次
糸リフトとは?
糸リフト(スレッドリフト)とは、特殊な糸を皮膚に挿入し、物理的に引き上げる美容医療施術のこと。
皮膚の内側にコグと呼ばれるトゲのついた糸を挿入し、そのトゲが皮膚に引っかかることでリフトアップ効果を発揮、顔のたるみを改善します。
メスを使わないため、切開手術と比較してダウンタイムが短く、効果が即時に見られるのが糸リフトの最大のメリット。また、糸リフトが埋め込まれたことにより、コラーゲン生成が促進され、肌のハリもさらに増していきます。
糸リフトの具体的な施術手順は?
では、糸リフトは実際どのように行うのでしょうか。糸リフトの具体的な施術手順についてご説明いたします。
カウンセリングと準備
施術前には、必ず医師とのカウンセリングが行われます。
ここでは、どんな悩みを患者様が持っているかや、具体的にどのような仕上がりになりたいかといった要望を丁寧にヒアリングし、患者様にとって適切な施術計画を立てます。
糸リフトよりも最適な施術がある場合は、患者様に提示されることもあるかもしれません。そして、この段階で糸リフトで使用する糸の種類、本数などが決定されます。
施術前麻酔
想像に難しくないですが、糸リフトは異物を皮膚の下に入れるため、多少痛みを伴う施術です。そのため糸リフトの施術では、痛みを最小限に抑えるため、主に局所麻酔または局所麻酔と笑気麻酔を併用して使用されます。
局所麻酔は、麻酔クリーム、局所麻酔、笑気麻酔、静脈麻酔の4つのパターンがあります。
- 麻酔クリーム:麻酔クリームとは、皮膚の表面に塗布することで局所的に麻痺を引き起こし、痛みを感じにくくするためのクリームです。糸リフト施術では、通常使いません。
- 局所麻酔注射:局所麻酔注射は、特定の部位に麻酔薬を直接注入することで、その部位の感覚を一時的に麻痺させる方法です。
- 笑気麻酔:笑気麻酔は吸入することで鎮静作用をもたらす麻酔ガスです。
- 静脈麻酔:静脈麻酔は、点滴で静脈から麻酔薬を投与し、短時間で深い鎮静効果をもたらす麻酔方法です。
- 当院では、静脈麻酔は行なっておりません。
糸の挿入
施術前に医師がリフトアップしたい部位のデザインを決め、皮膚にマーキングを行います。糸の挿入位置と引き上げる方向を確定させるのです。
その後、糸を挿入するために、こめかみや耳の後ろなどの目立たない場所に小さな切開を作ります。
糸を皮下に挿入するために、カニューレ(先端が丸い細い管)や専用の針を使用します。
カニューレは皮膚の下を通しやすく、周囲の組織を傷つけにくいのが特徴の管で、このカニューレを通して糸を皮膚の下に挿入します。
糸には小さな突起やコグ(歯)がついており、これが皮膚組織に引っ掛かることで引き上げ効果を発揮します。挿入する糸の種類や本数は、リフトアップの程度や部位によって異なります。
挿入し終わったら、必要な引き上げ効果を確認します。十分な効果を発揮できたとわかれば、糸を固定し、余分な部分をカットします。このとき、皮膚の引きつれ感がないように調整していきます。
最後に、糸を挿入した切開部を縫合処置や接着剤などで閉じます。傷跡が目立たないように、細心の注意を払っていきます。患部には小さなテープを貼って終了です。
ダウンタイムとアフターケア
施術後でもっとも大切なのがアフターケア。
施術後は、腫れや内出血が1〜2週間程度続くことがあります。引きつり感や痛みも1ヶ月程度で徐々に緩和されますが、アフターケアを怠ると思わぬ合併症が出ることがあります。
例えば「施術後の数週間は、顔に強い刺激を与えないようにする」「顔のマッサージや激しい運動、うつ伏せで寝ることなどは避ける」などのアフターケアは心がけるようにしましょう。
糸リフトのリフトアップの仕組み
では、どうして糸リフトでリフトアップが実現できるのでしょうか。
糸自体の力で物理的に引き上げられるから
一番わかりやすい効果が、糸の物理的な力です。
実は糸リフトで使われる糸は、ただの糸ではありません。糸には小さな突起(コグ)や凹凸があり、これが皮下組織に引っ掛かることで皮膚を引き上げます。コグは糸の方向に沿って配置されており、施術者が糸を引っ張ることで効果的にリフトアップするのです。
マーキングに従って糸を挿入すると、糸が皮下組織で皮膚を引っ張ることで物理的に持ち上げます。そして、糸のコグが皮膚に引っ掛かることで、より効果的にリフトアップをサポートしていきます。
最終的に挿入した糸はそのまま固定され、皮膚の引き上げ効果を維持します。
コラーゲンが増生されるから
糸リフトが組織になじむ時に、さらに期待できるのが「コラーゲン」の増生です。
コラーゲンとは、肌の土台となるタンパク質の一種。皮膚にさまざまな刺激が加わった時に、肌が入れ替わるターンオーバーが促進され、コラーゲンが作られます。
糸リフトも、糸の挿入や固定の段階で皮下組織に刺激が加わります。そして、糸が組織に馴染む過程で周囲の組織に刺激を与え、コラーゲンの生成が促進されるのです。そのため、施術後も肌の弾力やハリが向上し、長期的な美肌効果が期待できます。
糸の種類によっても仕組みが少し異なる
実は糸リフトで使用される糸には、溶ける糸(吸収糸)と溶けない糸(非吸収糸)の2種類があります。
どちらの糸も皮下組織に挿入されることで、リフトアップ効果を発揮します。
- 吸収糸:PDO(ポリデオキサノン)、PCL(ポリカプロラクトン)などが一般的です。これらの糸は徐々に体内に吸収され、最終的に分解されます。吸収過程でコラーゲンの生成を促し、皮膚の弾力を向上させます。
- 非吸収糸:ポリプロピレン、シリコンなどがあり、長期間にわたってリフトアップ効果を持続します。これらの糸は体内に残り続け、物理的に皮膚を支えます。
糸リフトと他のリフトアップ治療の違いは?
このように、物理的な引き上げ効果と糸リフトを固定させるために自然と作られるコラーゲンの増生効果により、理想的なリフトアップを実現するのが糸リフトですが、他のリフトアップ治療とはどのように異なるのでしょうか。
他の代表的なリフトアップ治療である、ハイフ(HIFU)やフェイスリフト(切開リフト)と糸リフトの違いについて見ていきましょう。
ハイフ(HIFU)と糸リフトの違い
ハイフは超音波を使用して皮膚の深部にある組織を加熱し、コラーゲンの生成を促進する非侵襲的な美容治療法です。超音波の焦点が皮膚の特定の層に集中することで、皮膚の引き締めとリフトアップを実現します。
ハイフは皮膚を切らないため侵襲性が非常に低く、ダウンタイムがほとんどないのが大きなメリットです。
これに対して、糸リフトは皮膚に小さな切開を行い糸を挿入するため、多少のダウンタイムが発生しますが、即効性のあるリフトアップ効果を得られます。
また、HiFUは超音波による熱エネルギーでコラーゲン生成を促進するのに対し、糸リフトは物理的に皮膚を引き上げるとともに、糸の分解過程でコラーゲン生成を促すため、異なるメカニズムでリフトアップを実現します。
どちらが優れるということはありませんが、即効性を求めるなら糸リフト、切らないでリフトアップを実現したいという方は、ハイフがおすすめです。
フェイスリフトと糸リフトの違い
フェイスリフト(切開リフト)は、皮膚を大きく切開して余分な皮膚や脂肪を除去し、筋肉や皮膚を引き上げる方法です。特に重度のたるみに対して効果的な治療法です。
糸リフトは非侵襲的で、フェイスリフトは高い侵襲性があります。糸リフトは小さな針穴を開けるだけで済むのに対し、フェイスリフトは大きな切開を伴います。また、糸リフトは1〜2週間程度で回復しますが、フェイスリフトは数週間から数ヶ月のダウンタイムが必要です。
一方、効果はフェイスリフトに軍配があがります。糸リフトは軽度から中等度のたるみに対して効果的で、切開リフトは重度のたるみやシワに対して特に効果的です。
また、糸リフトは施術直後から効果が現れますが、吸収糸を使った場合、6ヶ月から1年半程度持続します。それに対して、フェイスリフトは施術後すぐに効果が現れ、10年以上持続することが多いとされています。
このように傷をなるべく作りたくない、ダウンタイムを最小限にして即効性を求める場合は糸リフトが、重度のたるみを長時間なんとかしたいという方は、フェイスリフトがおすすめといえます。
【まとめ】糸リフトのやり方は?リフトアップの仕組みや他の治療との違い
糸リフトのリフトアップの仕組みを中心に、糸リフトと他のリフトアップ治療との違いなどについて解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
この記事のポイント
- 糸リフトのやり方:皮下に特殊な糸を挿入し、物理的に皮膚を引き上げてリフトアップ効果が発揮される方法。
- 糸リフトでのリフトアップの仕組み:糸のコグ(突起)が皮膚組織に引っ掛かり、物理的に皮膚を持ち上げると同時に、吸収糸が分解される過程でコラーゲン生成を促進します。そのため、施術直後からリフトアップ効果が現れ、糸の種類に応じて6ヶ月から1年半程度持続する。
- 糸リフトとハイフとの違い:ハイフは超音波で皮下組織を加熱し、コラーゲン生成を促進する非侵襲的な治療法。即効性を求めるなら糸リフトが、じんわりリフトアップを実現したいならハイフがおすすめ。
- 糸リフトとフェイスリフトとの違い:フェイスリフトは皮膚を大きく切開し、余分な皮膚や脂肪を除去しながら筋肉層も引き上げる侵襲性の高い方法。効果は強いが、傷が目立ちやすいので、重症度で糸リフトと切開リフトを分けるのがおすすめ。
糸リフトの効果や限界を十分理解して、納得したリフトアップ施術を受けられるとよいですね。そのためにも、事前に糸リフトについて担当医師やスタッフに十分質問してみてください。
トイトイトイクリニックでは、糸リフトの事前カウンセリングにてしっかりと患者様のご要望をお伺いし、的確な診断のもと最適な糸を選定して、治療プランをご提案させていただいております。
糸リフト治療のことでご不安や疑問などありましたら、無料カウンセリングにて担当医師へご相談ください。丁寧に対応させていただきます。
監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック
理事長・統括院長
野田
知路
- Noda Tomonori -
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