パラメディカルの「パラ」は「準じる」こと。
「メディカル」は「医療用」のこと。
そして、「ピグメンテーション」とは「色を付ける」こと。
つなげて言うと、「色々なケガや病気で失った本来あるべき身体の色を、医療アートメイクの技術を使って、準医療的に皮膚に色を付けることで、本来の姿に近づける技術」になります。
「パラメディカルアートメイク」や「メディカルタトゥー」といわれることもあります。
日本国内ではパラメディカルピグメンテーションを行うことは「医療行為」として定められています。
医療機関内で、医師または医師の管理の下において看護師が行うことの出来る施術で、病気や怪我で身体の外見が変わってしまったことでお悩みの方に、おすすめの医療技術です。
しかし、パラメディカルピグメンテーションを検討の方の中には、「原理がわからなくて不安……」「自分の症状には活用できるの?」と悩んでいらっしゃる方も多いでしょう。
この記事では、パラメディカルピグメンテーションについて解説します。
この記事を読むことで、パラメディカルピグメンテーションの原理や適応できる症状が理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな事がわかる
- パラメディカルピグメンテーションはどのような原理なのか
- パラメディカルピグメンテーションはどのような症状に用いられるのか
目次
パラメディカルピグメンテーションの原理
皮膚は外からの刺激を受けやすく、傷つきやすい部分です。そのため、常に表皮深層から表皮の浅層に向かって、新陳代謝を繰り返し、新しい皮膚に生まれ変わろうとします。要するに、傷ついた古い皮膚を捨てようとするのです。
パラメディカルピグメンテーションでは、これを利用して、「しばらくは消えないけど」「一生残ることもない」、0.5mmから2mmくらいにある表皮の深層部分に医療用のニードル(針)で染色します。
ですから、皮膚の深い層を傷つける入れ墨と異なり、痛みも少なく、時間がたつと数年で色が退色していきますので、化粧や流行の廃れで残ってしまうことを後悔することもないのが特徴です。
また、患者様のライフスタイルや年齢に合わせて、周りの皮膚とも合わせながら、デザインやグラデーションを変えることも可能です。
パラメディカルピグメンテーションはどのような時に用いられるの?
ではパラメディカルピグメンテーションは、どのような症状に活用されるのでしょうか。
例その① 乳頭の色素脱落の場合
特にパラメディカルピグメンテーションが使われる場合が多いのは、乳腺の手術後です。
乳がんの治療法として代表的なのは乳房切除術や乳房部分切除術があります。つまり乳房を一部切り取ったり、場合によっては、すべて切り取ったりすることで癌を完全にとりきるという方法です。
その後、乳房の形を整えるために、乳房再建術といって、人工物をいれたり、脂肪組織を他から移植したりしますが、乳頭や乳輪を含む切除ですと、どうしても左右対称に乳頭や乳輪がないと外から見ると目立ってしまいます。
そこで、パラメディカルピグメンテーションを活用することで、手術をしていない健側の乳輪・乳頭色素を見ながら、手術側の乳房に、患者様にあった色を数色選びグラデーションをつけていきます。最終的には、ごく自然な形で、手術側の乳房に、手術していない乳房の乳輪・乳頭を再現することが出来ます。
例その② 白斑症の場合
白斑(はくはん)は、一部の皮膚が白くなってしまう病気で、メラノサイトと言う黒い色素と作る細胞に異常をきたすことで生じます。
原因としては、尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)で、自分が自分のメラノサイトを攻撃してしまい、色素を作れなくなる疾患が1番多く、全体の人口の0.5〜1%くらいとされています。
ステロイドの軟膏や光線療法(エキシマライトなど)を用いた治療を行っても、なかなか治らずそこだけ白く抜けてしまうこともあり、それでも困難な場合、パラメディカルピグメンテーションが使われます。
周りの皮膚の色彩とグラデーションを合わせながら、その境界線から丁寧に穿刺(せんし)していきます。唇に近い場合は、リップラインのアートメイクと併用しながら、何種類かのカラーを患者さんの皮膚色に合わせてブレンドしていきます。
部位にはよりますが、非常に目立たなくなります。
例その③ 傷痕の場合
外傷ややけどの跡がのこってしまった場合にパラメディカルピグメンテーションが用いられます。
隆起が激しいところはすべてをカバーすることは難しいこともありますが、頭部の傷痕には特に有効で、スカルプスキンニードル法を用いて治療するとほとんど目立たなくなることが多い部分です。
例その④ 無毛症、脱毛症の場合
無毛症とは、頭皮や全身に生まれつき毛がまったく生えないか、あるいは少ない病気のことです。脱毛症は、最初はふつうの人と同じくらい毛が生えていたのに、比較的若い段階で徐々に毛がふつうより抜けてしまう病気です。
白斑症同様、自己免疫が関わっていたり、ホルモンが関わっていたりします。
標準治療を行っても、なかなか時間がかかることも多く、まゆげや頭皮ですと、周りからの見た目も気になります。
そこで、パラメディカルピグメンテーションのスカルプニードル法を用いて、脱毛前の写真などを参考にさせていただきながら、自然な形の毛を再現することで、周囲からの目線が気にならなくなるでしょう。
【まとめ】パラメディカルピグメンテーションとは
パラメディカルピグメンテーションの原理や用いられる症状について解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
この記事のポイント
- パラメディカルピグメンテーションは、医療アートメイクの技術を活用し、皮膚の0.5㎜〜2㎜の深さに医療用ニードル(針)で染色する技術
- パラメディカルピグメンテーションは、タトゥーや刺青と異なり、痛みも少なく、時間がたつと数年で色が退色していくため、ライフスタイルや年齢に合わせたデザインが可能
- パラメディカルピグメンテーションが用いられる症状には、乳頭の色素脱落、白斑症、火傷や外傷の跡、無毛症・脱毛症などがある
パラメディカルピグメンテーションは、みなさんの「こうあったらいいのに」をお応えすべく生まれた高度な医療技術です。
病気や怪我による外見の変化にお悩みの方は、一度カウンセリングに行かれてみてはいかがでしょうか。
監修医師
医療法人社団雪焔会 トイトイトイクリニック
理事長・統括院長
野田
知路
- Noda Tomonori -
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