コラーゲンペプチドをご存知でしょうか?
コラーゲンが配合されている健康食品が多く販売されており、皮膚の弾力向上や膝、腰関節の痛みを軽減することを期待して摂取する方も多いでしょう。コラーゲンを酵素などによって低分子化させたコラーゲンペプチドというものが存在しており、コラーゲンよりも機能性が向上していることが知られています。
今回は、このコラーゲンペプチドの効果と副作用について解説していきます。
目次
コラーゲンペプチドとは(参考文献1)
コラーゲンは、皮膚を形成する重要なタンパク質です。
表皮の下層にある真皮層の約90%をコラーゲンが占め、肌の弾力に大きな役割を果たしています。
コラーゲンペプチドは、コラーゲンを酵素などで細かく分解したもので、健康食品に記載されているコラーゲンはコラーゲンペプチドのことです。
コラーゲンに比べるとコラーゲンペプチドは低分子であるため水に溶けやすく、消化吸収されやすいとされています。
健康食品、化粧品として流通しているコラーゲンペプチドは、牛、豚、鶏、魚などから製造されています。
コラーゲンペプチドは体内でどのような役割がある?
経口摂取されたコラーゲンは、消化されてから全てアミノ酸に変化するため、コラーゲンとしての効果を発揮できないと長年考えられていましたが、最新の研究ではコラーゲンペプチドによって様々な効能、効果が期待できると報告されています。
肌の保湿機能
コラーゲンは肌の弾力性を維持するだけでなく、保湿機能にも関わっています。
金沢大学大学院で行われた研究では、25〜68歳の健康な女性を対象としてコラーゲンを5g摂取したグループと10g摂取したグループに分けて、肌の水分量の変化を計測しました。結果としては10g摂取したグループでは水分量が増加して、シワの数が減少していると報告されました。
コラーゲンよりも吸収されやすいコラーゲンペプチドには、肌の保湿機能を向上させる効果が期待できます。
骨形成促進機能(参考文献2、3)
閉経後の女性は、女性ホルモンの減少によって骨密度が減少することが知られています。
骨密度の減少が進行すると骨粗しょう症になり、骨折や寝たきり状態の原因になる可能性があります。また、コラーゲンは骨の強度を維持する重要なタンパク質であるため、コラーゲン不足は骨密度減少にもつながります。
閉経後の50代女性を対象とした研究では、コラーゲンペプチド6gを3ヶ月間摂取したグループは、コラーゲンペプチドを摂取していないグループと比べて骨量を保っていたと報告されています。
関節機能の向上(参考文献4、5)
コラーゲンは、皮膚や骨以外にも関節や腱などの結合組織を構成しています。
コラーゲンの不足によって、関節がうまく機能せずに膝関節の痛みなどにもつながります。
40〜74歳の膝関節に痛みがある男女26名を対象として、10gのコラーゲンペプチドを12週間摂取した研究では膝関節機能が改善されたと報告されています。
コラーゲンペプチドに副作用はある?(参考文献1)
コラーゲンペプチドは、本来ではあれば体を構成する重要なタンパク質であるため、副作用は非常に少ないイメージがありますが、まれに副作用を起こすことがあります。
コラーゲンペプチドが配合されている健康食品、化粧品を使用して体調に異常を感じた場合には医療機関を受診しましょう。
アナフィラキシー(参考文献6)
体の中にアレルギーを引き起こす物質が侵入することで、免疫系がアレルギー原因物質を排除しますが、ときには体に極めて有害な反応を引き起こします。体に対して、有害になるほどの免疫反応をアナフィラキシーとよびます。
アナフィラキシーになると蕁麻疹、紅斑、呼吸困難、めまい、腹痛、下痢など様々な症状があらわれます。
コラーゲンペプチドでアナフィラキシーが起きる原因としては、牛、豚、鶏、魚などが原料として使用されているためです。これらを原材料としている場合には食品衛生法によって表示することを推奨されています。過去に食品でアレルギーを起こしたことがある方は、注意が必要です。
足のむくみ・息切れ(参考文献1)
金沢大学大学院で行われたコラーゲンに関する研究では副作用も報告され、5gの摂取では目立った副作用がみられなかったですが、10gの摂取では1週間後に足のむくみがみられ、1ヶ月後には息切れがみられるようになりました。
コラーゲンの摂取を中止すると、症状も改善しています。
【まとめ】コラーゲンペプチドとは?その効果と副作用について
コラーゲンは、ヒトの体を構成するタンパク質の約30%を占め、肌や関節に対して重要な役割を果たしています。
コラーゲンペプチドは、コラーゲンを酵素などで低分子化したもので水溶性も高く、吸収されやすいため、健康食品や化粧品に幅広く使用され、最新の研究では肌の保湿機能向上、骨密度向上、関節機能改善効果に期待できると報告もされています。
しかし、コラーゲンペプチドは牛や豚、鶏、魚などを原料として製造されているため、アレルギーを引き起こす可能性もあります。コラーゲンペプチド配合の健康食品や化粧品を使用して、体調に変化が生じた場合には副作用の可能性もあるので医療機関を受診しましょう。
参考文献)
1.伊藤まゆ他. コラーゲン含有飲料摂取による顔面皮膚性状の変化. 日本補完代替医療学会誌. 2009年, 6巻, 2号, p.111-118. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/6/2/6_2_111/_article/-char/ja/, (参照 2021-04-21)
2.渡辺洋一郎他. 第59回栄養・食糧学会大会. 2005年. (参照 2021-04-21)
3.下間早織他. 薬理と治療. 47(3), 493 (2019). (参照 2021-04-21)
4.野村義宏. 変形性関節症とコラーゲン. https://www.jstage.jst.go.jp/article/ffr/16/0/16_FFR2020_p28-34/_pdf/-char/ja, (参照 2021-04-21)
5.山本貴之他. 薬理と治療. 46(5), 837 (2018). (参照 2021-04-21)
6.救急小冊子 知っておきたいアナフィラキシーの正しい知識 アナフィラキシーの原因. 広島県医師会. http://www.hiroshima.med.or.jp/pamphlet/256/3-3.html, (参照 2021-04-21)
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